Research

固体電子構造と局所配位環境のデザインにより所望の光機能を発現させる!

身の回りには発光する材料やデバイスが多く存在します。例えば、白色LED照明、レーザープロジェクター、テレビやスマートフォンのディスプレイはその一例です。これらの発光デバイスには、短波長の光を吸収して長波長の光に変換する蛍光体と呼ばれる発光中心イオン(希土類や遷移金属など)を添加した無機固体材料が使われています。蛍光体の光物性は、発光中心イオンの種類やその幾何学的・化学的な配位環境、結晶ホストの固体電子構造で大きく変化します。本研究室では、これらの光物性を支配する要因を詳細に調査・特定し、高効率蛍光体や近赤外蛍光体、残光蛍光体など所望の光機能を有した固体材料をデザインしています。

白色光を創る!


白色LED照明やレーザー励起白色光源は、青色LED(またはレーザー)と可視蛍光体から構成されています。白色光源用蛍光体は、用途により要求される特性が異なり、最近ではディスプレイ用の発光バンドの半値幅の狭い「ナロ―バンド蛍光体」やレーザーの強励起でも消光しない「レーザー励起用蛍光体」などの開発が求められています。我々は、物理現象の解明を通し、より高い特性を有する蛍光体を戦略的に創製します。

光を蓄える!


通常、蛍光体は励起光を遮断すると、直ちに減衰し光らなくなります。しかしながら、励起電子の一部を結晶ホストに存在する電子トラップに蓄えることにより、数分から数日の時間スケールで光続ける蛍光体(長残光蛍光体または蓄光材料)を作製できます。我々は固体電子構造に着目し、光誘起電子移動機構を制御することにより、残光蛍光体を設計しています。


光で測る!


蛍光体の光物性は、温度や圧力により変化するので、特徴的な発光の変化を利用することにより、非接触・非侵襲型の温度センサーや圧力センサーとして使用できます。バイオ応用に向けた近赤外サーモメーターや高感度圧力センサーなどを開発しています。

磁石にくっ付く白色残光蛍光体


結晶ホストと添加金属イオンを設計することで、磁石にくっ付き白色で残光する材料を開発しました。磁力で動かせる蓄光型の蛍光マーカーとしての応用が期待されます。

量子ドット蛍光体


量子ドットは、高い吸収係数と高い発光量子効率を持ち合わせるナノスケール蛍光体として、注目を集めています。しかしながら、多くの量子ドットは、毒性の高い元素を使用しています。我々は、無毒な元素を用いた量子ドット蛍光体の作成に取り組んでいます。

光機能性材料の他テーマ


透光性セラミックス、太陽電池高効率化のための波長変換材料、フォトクロミック材料、熱ルミネッセンス蛍光体、応力発光体、アップコンバージョン蓄光、消光機構解明、圧力誘起相転移、無機顔料、スマートウィンドウ etc.